偽物語 つきひフェニックス のプロブレム
「じゃあお前、月火ちゃんの為に死ねるか?」
良いシーンだと思う。西尾維新の描くキャラクター達の異常性を描きつつ、それでよし、よく言ったと熱い気持ちがこみ上げるシーンだ。
しかし、現実問題としてもし仮に警察官夫婦の居宅があのように(仮にアニメ版が演出としての強調・誇張を含むものだとしても、「多分、ダンプカーにでも当て逃げされたんじゃないかな」という暦のセリフからしても玄関と外扉は破壊されているのではないのか)壊された場合、両親はそれを上司に報告したり通報したりしなくてはならない。
警察官の住居が何者かによって破壊された場合、警察側はテロ事案をひとつの前提として動くし、次々と警察車両が集まって執念深く現場検証・捜査が行われる。故意に警察官を狙ったかは定かではないが、これに端を発した国家への重大犯罪を想定する以上、公安警察も当然動員され、省庁である警察庁も認知するようなとんでもない事件になる可能性が高いのではないのか。
もちろんタイヤ痕などないし、車輛の塗装や破損片、爆発物などの化学的・科学的証拠の類は現場に一切残されていないので、重要指定の未解決事件として直江津県警内部で長きにわたって語り草となるのだろう。見つからない犯人の為に投入される捜査人員と時間と税金とを思うと、ただひとり犯人を知っていながら秘匿する暦の「自己批判精神」はいかほどかと邪推せざるを得ないが、作者の作風を考えればその辺は考えるだけ無駄、というか水を差すだけである。